日本というシビアな環境
FROM:山本洋 会社事務所にて・・・
すっかり秋の陽気になりましたね。湿度も60%、人間にも木材にも快適な季節です。ちょっと肌寒いのが人間には堪えますが・・・。
なんかまだ夏モードを引きずってるんですよ。もう11月だってのに。
あっという間に師走です。時が経つのが早くなってしまいました・・・歳のせいですね。おおこわ。
日本では、これから冬に入っていきますよね。冬になると、湿度がさらに下がり、めちゃくちゃ乾燥する、というのが日本です(東北を除いて)。そして春になると湿度が上がり、梅雨が来て、夏はジメジメした日が続きます(北海道を除いて)。
四季がある国・ニッポン
こんなに四季がはっきりしているのは日本くらいだ、という話はあなたも聞いたことがあるでしょう。
東アジアの「雨期」がありつつ温暖な気候の地方、といったら世界中探してもそう多くないと思います。
だから、そんな地方によその国の木材が入ってくると、経験したことのない季節を経験するわけです。
日本に入ってくる木材は、大きく分けて4地域。
ヨーロッパ、アメリカ(北米)、東南アジア、アフリカ。
そのうち、東南アジアは合板や堅木、アフリカも堅木が多いです。
一方のヨーロッパや北米は、針葉樹もたくさん入ってきます。
ロシアも相当ありますが、ヨーロッパの一部ということにしておきます。ドイツやスイス、北欧なんかと近いものがあるので。
で、この中でフローリングや内装造作で使う木材がどうなっているかというと、現地ですべて製品になるものもあれば、材料を中国に持って行って加工するものもあります。
フローリングはヨーロッパで加工されているものも多いですね。
いずれにせよ、大陸性気候の中で作業をされています。
暖かい海沿いの地域で加工されている、という話は聞いたことがありません。
大陸性気候→日本へ来ると
そして日本にやってきます。
大陸性の乾燥した気候しか体験したことのない木材が、突然船で、日本という雨期のある地域に来るのです。
しかも、欧米諸国ほど仕上がりにおおらかではありません。
あちらの国は土足が基本で、自分たちで施工するもの多いです・・・
というか内装は自分たちでするもの、というのが世界のスタンダードではないでしょうか。
ともかく、日本の「湿気」を初体験します。
すると、当然木が膨らみ、狂いが生じます。
「広葉樹は膨らむ」というのは、木のせいではなく作られた環境によるものです。
日本製の木材は狂わないか?
では日本で作られた木材はどうか? 日本だったら狂わないばっちりな木材ができるんじゃないか?
と思ったらこれが大間違い。全く逆です。
湿っているので、乾かない。
当たり前っちゃ当たり前です。
但し、全部が全部乾かないわけではありません。
ひとつには、乾燥技術のおくれがありました。主に杉やヒノキなどの針葉樹ですね。
これは、単純にうまく乾かす技術が遅れていた、というのが主たる原因です。
生の状態の木を、大工さんが上手に使っていたのです。
但し、○○ホームとかのどでかい工務店(ハウスメーカーと呼ばれる方)はそういうわけにはいかなかった。だから海外から乾燥した木材を買って使っていました。
一方、内装材。
これは乾燥技術がありました。
特に広葉樹のフローリングなんかは素晴らしいものがあります。
針葉樹のフローリングでも、広葉樹にはかなりおくれを取りましたが、ヒノキ辺りはいいものが出ています。
今ウチは杉でも床暖房対応フローリングなんかを作っています。
問題は、どうすれば狂わないか、ということです。
日本には湿気の問題があります。
湿気のある日本で、バツグンに乾いた木材ができることが、日本では理想の木材になります。
「仮並べ」の意味
海外から来た木材はどうすればいいか?
可能であれば、湿気を経験させること。
製造工程まで入ることができれば、湿気を含ませる工程を入れることですが、さすがにそこまでは・・・
なので、日本に入ってから、養生期間をおくことです。
よく、フローリングの説明書に書いてありますよね。
「現場で仮並べして、養生期間をおいて下さい」
と。そこにはこういう意味があったのです。是非試してみて下さい。