株式会社マルナカ

【速報】第2回国際バイオマス発電展の感想

FROM:山本洋

東京の姉宅にて・・・

3月2日、第2回国際バイオマス発電展(3/1〜3/3、東京ビッグサイト)というものを見てきました。

「スマートエネルギーWeek2017」という電力設備の展示会の一部として開催していたもので、バイオマス発電は今回で2回目とのこと。

木材の利用方法として注目を浴びている分野なので、あなたも気になるところもあると思いますので、せっかくなので内容の紹介を少し、僕の感想も沿えてシェアしたいと思います・・・

 

 

大規模発電は少なかった

バイオマス発電のブースは、全体で言ったら大きくはありません。

地図の面積で言うと、全体の10分の1程度でしょうか。

そうは言っても、国内外のメーカーが合計61のブースを出していました。

みどころは何か?というのはなかなか難しいところがありますが、僕が目を惹かれたのは中規模のバイオマス発電のブースでした。発電容量で言うと200kW未満のクラス。

恐らく5年前くらいに同じような展示会をやっていたら、メガワットクラスの発電設備が顔を揃えていたのだと思います。

 

どういうことかというと、三重を始めとする林業県でバイオマス発電所ができはじめたのがその頃でした。

山を手入れする時に、ある程度出てくる捨て切り間伐材を「未利用間伐材」とし、それを燃料として発電した電力は、太陽光発電とか風力発電とかと同じ「再生可能エネルギー」と評価されます。

再生可能エネルギーは電力会社に売ったときに高く買い取ってもらうことができ(電力の固定買い取り制度)、荒れ果てた山の整備ができて、さらに電気が売れれば儲けも出る、すばらしい地域再生だ!ということで始まりました。

(詳しくは経済産業省のホームページを見てみて下さい)

この発電所が大体数メガワット(例えば松阪市で稼働している発電所は5800kW)で、これはある林業家さんから聞いた話だと「三重県で毎年出てくる丸太の量に匹敵する」そうです。

つまりめっちゃ大きいということで、この原木の需要を作って山を整備する、というのが大きな枠組みの一つでもあります。

そしてこの規模のバイオマス発電所が、去年〜来年あたりに各地方自治体(主に都道府県単位)で企画、建設されてきています。

 

日本ではまだだけどヨーロッパでは・・・

で、展示会に話が戻ります。

展示会を見ていると、そのようなメガワットクラスの発電所の展示は少なく、もっと規模の小さい単位の発電設備(2000kW未満)がたくさん出ていた感じがしました。

それもそのはず、平成27年度から2000kW未満のバイオマス発電施設では、電力の買い取り価格が32円/kWから40円/kWに改定されています。

大規模の物を1カ所どどーんと作るんじゃなくて、小規模の物をたくさん作ってくださいね、ということなのでしょう。

ヨーロッパ発(オーストリア、ドイツ、イタリア、フィンランドなど)のメーカー、それを輸入する日本の代理店がよく目立ちました。

日本ではまだ実績が無いけど、ヨーロッパでは百機くらい動いていますよ、ぜひ御社が日本第1号にどうですか、みたいなところが見られました。

小規模の発電設備は、チップを燃やすというよりチップを一定の温度で加熱させて「バイオガス」を作り(不完全燃焼させてるようなもの?)そのガスを燃やして発電する方法が一般的なようです。

「コージェネ」と言った方がいいかもしれません。一般住宅でもガスで発電するやつがありますよね。あれの燃料がチップなわけです。

 

熱の利用が鍵

で、今までのバイオマス発電はチップを燃やして、燃やした「熱」は捨てていました。

小規模発電だと「熱」の利用が鍵で、熱を捨てずに何かに利用することで採算を合わせられるそうです。

だから実際に日本で稼働している小規模発電所は、温浴施設とかホテルとかが多いらしいです。

 

僕が狙っているのはまさにそれで、製材で出てくる端材を燃料にして乾燥機の熱を作り、ついでに発電できたら最高だとか思ったわけです。

 

ただ、まだまだ課題はあって、小規模発電(50kWとか165kW。ヨーロッパの固定買い取り制度はその辺が容量の基準らしい)では燃料の質が重要らしく、未乾燥のチップじゃなくて成型されたペレットじゃないと効率が悪すぎる設備が多いみたい。

その点を解決しました!含水率40%のチップまで大丈夫!という設備も出てました。

(注:バイオマスでの含水率は「ウェットベース(WB)」で、水分÷水分を含んだチップ全体の重さ、で計算します。木材業界で使う含水率は「ドライベース(DB)」で、水分÷水分ゼロ状態のチップの重さ、で計算します。なのでWB40%はDBでいうと67%くらいになる)

小規模・中規模発電についてはまだこれから稼働、というメーカーが多かったように思ったので、この1〜2年くらいの動きをチェックしていければと思います。

 

日本の技術がんばれ!

僕としてはこの辺の分野に是非日本の技術開発が向いていけばなぁ、と思いました。

この分野でリードしているのは断然ヨーロッパの林業国・木工国で、前者はフィンランドやオーストリア、後者はドイツやイタリアです(イタリアはNCルーターやプレカットなど、木工分野では世界最高レベルの機械メーカーがあります)。

ドイツなんかは日本の先例としてよく取り上げられますが、

例えば山深い田舎で林業を主体にし、そこで出る端材やオガクズなんかでペレットを作り、村に一つ中規模の発電所兼熱供給施設があって、そこで村全体の電気と暖房をまかなっている、

みたいなところが結構あるそうです。

だから発電設備の需要があって、設備メーカーもこぞって最新機器を作っているみたいです。

今回の展示で出ていたメーカーもオーストリアの会社だったり、日本の会社の展示でも機械はドイツ製とか、発電ユニットはイタリア製とかでした。

でも日本のメーカーが本領発揮するのってその辺だと思いません?

ヨーロッパの一般的な設備の250%の効率で発電します!みたいなのとかできないんっすかね〜?

そしたら日本の製材所がまず入れて、逆にヨーロッパに輸出すればメーカーも儲かる気がするんですが。どうでしょ?

ぶっちゃけ、「スマートエネルギーWeek2017」もメインは太陽光発電だったんで、少々ガッカリ感は否めなかったですわ・・・

 

Podcastでも配信予定

バイオマス発電展については、僕と三栄林産の坂さんとでやっているpodcast「woodcast.jp」でも語る予定ですので、お楽しみに。

 ではまた。

 

追記(3/13):上記の件、woodcast.jpで配信しました。

 

 

(訂正3/13 11:45:バイオマス発電展の開催日程が間違っていました。現在は修正されています。)

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