株式会社マルナカ

人工乾燥と自然のルール

湊利真です。

 

今日は人工乾燥の話。

 

この小さな鉄の棒ですが、重要な役割を担っています。材芯センサーと言いまして、温度が材の芯まで到達したことを教えてくれます。

材の芯まで温度が達していない時、排気装置や除湿器を作動させることが出来ない仕組。

乾燥途中、機内の温度が何かのひょうしに設定より下がってしまった時など、材芯センサーが働いて排気装置、除湿器などを止めます。温度がいきわたるまで動きません。室温よりも材温が重要であるという事。(特にうちのような低温乾燥では)

 

木材人工乾燥の一番初めはファンを回し、温度設定をするのですが、材の芯まで温度が達して初めて全ての工程がスタートします。

材芯センサーに温度が達すると次は24~48時間の初期調湿という工程。これは水中乾燥に学ぶ自社特有のものでしょう。

 

20年も腐らない木

伊勢神宮の式年遷宮では1万㎥以上もの檜が使われます。切り出された原木は水中貯木場に3年ほど保管され水分移動を待ちます。その間辺材は傷みますが心材の水分は抜け、油分はほど良く保たれ、製材後も割れや反りの少ない良材となります。このような良い心材を使うことで20年もの間雨風にさらされても、腐らないというわけです。

 

杉の原木も昔は山から切り出され、筏にして川を流して運ばれました。それは単に物流という事だけではないのです。水の浸透圧や毛細管現象による結合水の移動など当てはまる言葉はたくさんありそうですが、昔の人は感覚的にそのことを理解していたのでしょう。

 

水中乾燥。真逆の発想のような気もしますが、水を抜くには水が必要なのです。

 

で初期調湿の話に戻りますが、100%を超える湿度の中で蒸し上げ、飽和状態をつくり、材を柔らかく緩めてやることで、低い温度による乾燥が実現します。また傾斜の少ない低い含水率に至るには最初のこの工程に十分な時間をかける必要があり、何をするわけでもなくただただ「待つ」そんな時間が弊社、木材乾燥の核であると言えます。 

せっかちな人に木を乾かすことは出来ません。効率やランニングコストや納期、大事です。でも自然の物を扱う以上、そのルールによりそい、バランスをとっていく必要がありそうです。

 

 

 

 

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