株式会社マルナカ

変化と私

マルナカ News Letter 2018年10月号より

木材探究録Vol.17 written by湊利真

変化と私

全ての「もの」や「こと」は少しずつ変化していきます。その決まり事だけが変化しない唯一の事ではないでしょうか。

父が昔よく言っていました。「最近のテレビに出てくる若い子らは、みな同じ顔に見えるわ。」 私は学生の頃、音楽が好きで当時メジャーだったバンド名やグループ名、メンバーの名前に至るまで、けっこう言えました。近頃はあまりテレビも見なくなり、見るのはニュースと家族に乾杯くらいで(鶴瓶と私、同じ誕生日です)、父が言っていた言葉の意味がわかりはじめています。特にアイドルは初期のモーニング娘までで、それ以降はグループ名くらいしかわからず、みんなよく似た顔に見えはじめています。

振り返ってみると他にもあります。シャンプーなんかもこだわっていて、このメーカーのこれと決めていましたし、洗顔フォームもボディーソープもこれ以外は使わないと。 でも時が流れて、そういった価値も少しづつ変化していって、今では頭を洗う時にシャンプーで洗顔をしています。「それはやめといたほうがエエで」みんなに言われますが、もはや習慣なのです。

 

変化と杉板

私どもは杉の内装材を主に作っておりますが、羽目板を外壁に使って頂けるお客様もおりまして、本当にありがたいです。さらに近頃その加工精度は保ちつつ、あえて表面をザラザラの荒削り、ラフで仕上げる。というような引き合いがいくつかあり、そういったものを作ると自社商品ではあるものの「これ、シブッ」と思います。塗料がのった時の素材感を想像するだけでホント嬉しくなります。

刻まれていく時間は風化や劣化、経年変化というような言葉によって表現され,全ての物はその過程から逃れることは出来ません。 ただ土や石や木に表される歳月は、プラスチックや塩化ビニールやあらゆる新建材のそれとは同じではないということに、多くの人は気づいているのではないでしょうか?

白くなりヒビ割れたプラスチックに「おもむき」を見ることはありません。杉の外壁も古くなります。10年20年 油分は抜け、灰白色化し黒ずみ、夏目は次第に痩せていき。でも人はそんな自然素材の変化を受け入れることが出来る。そこには大きな淋しさが伴うかもしれない。それでも風合いや味といった言葉と共にその変化を楽しむことが出来るのです。それは木も人も土も石も同じ大きなおおもとに根差しているという事なのでしょうか。

私自身ももうすぐ39歳。頭には白いものが目立ってきています。頬っぺたについた枕の跡がなかなか消えません。枕の匂いがおじさんになったのだとおしえてくれています。

たくさんの思い出がしみ込んだ土壁みたいに、長い年月、雨風にさらされた杉板みたいに歳を重ねていきたいと思っています。(でも気持ちだけは永遠の16歳です♪)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。* が付いている欄は必須項目です!

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

PAGE TOP