これでいいんだろうか・・・?
自宅にて・・・
FROM:山本洋
今日は原木の市がありました。美杉木材市場。
旧・美杉村、現・津市美杉町は、あの映画「Wood Job!」の舞台になった場所です。
今日の美杉の市場は、年に一度の特別市ですが、近年まれに見る原木の量でした!驚きです。
さて、原木市に来るといつも思うことがあります。
それは、原木の売り方です。
冒頭の写真のように、原木がたくさん並んでいると一本一本競り(セリ)に掛けていると時間がかかってしまうので、
数本〜十数本(時には数十本)をひとまとめにして競りに掛けます。
それはいいのですが、問題は、どういう木をまとめて一山にするか。
通常の考え方では、同じような木柄のものをセットにすると思います。
が、時としてそうではない場合があります。
それがこの写真です。
この2本はセットで売られていたのですが(そして自分が買いました)、
よく見ると、右の木は比較的真っ直ぐで、左の木は曲がっています。
一般的には、曲がった木は真っ直ぐな木に比べて1ランク下がり、安く取引されます。
曲がっていたら真っ直ぐなものを製材できないからです。当然といえば当然。
なので、普通の考えで行くと、この2本はセットにはならないはずです。
ですが、今回この市では、この2本がセットになっていました。
原木市場側は、なんとなくこの2本をセットにしたわけではありません。
売る方も買う方もプロですから、これだけ曲がっていたら一瞬で分かります。
ですので、「意図的に」この2本…曲がっている木と真っ直ぐな木をセットにしているのです。
なぜでしょう?
ちょっと考えてみて下さい・・・
曲がっている木と真っ直ぐな木・・・
ランクの落ちる木と、そうでない木・・・
極端に言えば、できの悪い木といい木・・・
では答え。
「曲がっている木を高く売りたいから」。
当たり前?
そうですね。当たり前です。曲がっていても、高く売りたいと思いますよね。
でもこれは、私たち買う側からすると、真っ直ぐないい木を買おうとすると、
曲がっている使いにくい木がセットで付いてくるから、「高い値段では買えない」
と思ってしまいます。
売る側は、「曲がりを高く売りたい」
買う側は、「曲がりがあるから高く買えない」
どっちが正解なんでしょう???
僕は、こんなセット販売は止めてほしいと思います。
曲がった木は曲がった木なりの値段の付け方がありますし、
僕だったら、真っ直ぐな木は真っ直ぐな木なりの値段…少々高めに値段を付けます。
そんなことより、「いらない木を買わされる」ことの方が困ります。
なぜなら、本当にいらない木は、僕らの工場では使い物にならないから。
今回の2本は、曲がっていても半分に切ったら使えるかも知れない、
と思ったから買いました。
ですが本来曲がった木は製材して乾燥させると、木の性質通りに曲がっていきます。
どれだけ真っ直ぐに製材しても、元の性質は変わりません。
ですので基本的には曲がりはNGなのです。
逆に、曲がった木がほしい時もあります。
例えば「破風板」という屋根の材料は、曲がった木である必要があります。
また、梁に使う時は、反っている木の方が好まれることがあります。
曲がりがいい悪い、真っ直ぐがいい悪い、ではなく適材適所なのです。
曲がった木がほしい人に、曲がった木を買ってもらえばいいと思うのです。
これは、僕ら買う側の論理かもしれません。
ですが、大抵の原木市場では、このような販売方法が横行しています。
「高く売らないと出荷者に怒られる」というプレッシャーからなのでしょうが、
結局それをやられると、僕らは高い値段を出せないわけで、
逆に今回のように僕が「それでも」買うと、「ほら見ろ売れたじゃねぇか」となるのでしょう。
あなたはどう思われますか?
コメント
通りすがり氏says:
2018年9月25日 1:00 PM
売りて利益の抱合せは止めて欲しいですね
必要とする人に必要な木材が届く
これが人にとっても木にとってもハッピーだと私は考えます
植物も命なんですけどね
(有識者の中では植物も感情を持つという仮説もあり、科学的にも物質や成長具合の変化として定量的なデータが存在する)
金目(かねもく)で木を扱う人にとっては
金稼ぎの道具でしかないんだろうなぁ
売り手の真意はわからんですが残念でなりません