木を乾かす仕事
はじめまして
木材乾燥を担当している湊利真です
大変なこともありますが毎日楽しんでやっています
そんななかで自分にしか伝えられないことがある気がして投稿することにしました。
杉のことを知ってもらいたい
ただその思いからです。
まず木材乾燥技術って乾燥機内に入れてからの管理だけではないということ,帯ノコが入った時点で自由水は動き始めるし、もっと言えば原木の時も乾燥は進んでいる。
米作りとか野菜作りとか似ているところがあると思う。 “気にかけて毎日見てやる”ということがとても大切で、気温や湿度や陽射しや風。いろんな条件下での小さな変化を観察してどうして欲しいのかに耳を傾ける。
原木から乾燥機に入るまでにもたくさんの工程があり、みんなの努力があり,先代から繋がってきた技術や知恵があり、また新しい試みや工夫がある。 ともなって担う責任は大きいです
で乾燥機内ではどういうことをするのか
ポイントはひとつ『木に任す』ということ。
もちろん基本的な風、温度、湿度の管理はします。波形データの勾配や含水率の変化から水分移動や傾斜をイメージし記録用紙に記入する。それらすべてをヒントに次の設定値を考える。これも毎日のことです
ただすべてをコントロールしようとすると痛いめにあう。ということも身をもって経験してきました。それはどういうことかというと、自分たちのルールと自然のルールは違うということ。
生産性を維持したいとか、納期を間に合わせなければとか、木には関係がないということ。
強引に推し進めるようなことがあれば必ず色や匂いや形状に不快なものがあらわれてくる 加工後や施工後に想定外の動きが出たり、妙に硬くなってしまったり。
『木に任す』とはほったらかしということではありません。余計な手を加えたり、自分たちのルールに従わせるような事はしないということ。もっとゆったりとした自然のルールがあり工場の体制や納期の決定があるということです
設定を少し変化させ水分が移動するのを『待つ』少し変化させ『待つ』変化させては『待つ』 ザックリ言えばやってることはこれだけです。ただこれこそがうちの乾燥技術の【核】であり、積み上げてきたものです
世間的にはあまり評価を得ることのない部分にこだわり、何かを調べてみたり、試してみたり
そういう自分をすごく好きになれました。 なぜかはわかりません
ただ杉の魅力『しなやかさ』と『あったかさ』
それが誰かの生活を陰ながら支えるものであってほしい
そう思うのです